リブラの大きな可能性

2020-01-28 00:00:00 · 1614 views · 5 min read

 ベニス

 

ここ数日、私のSNSのフィードはリブラ(Facebookの新たなグローバルブロックチェーンプロトコル・暗号通貨)に関するコメントや意見で溢れていました。

 

プライベートやSNS、公式なもの含めていくつかの質問が寄せられましたが、各所で指摘されているように、私は珍しくめっきり沈黙をつらぬいていました。

 

それが、私がCreative Destruction Lab (CDL) に携わっていたためだということを、今になって公開できます。CDLは、トロントで創設され3カ国7都市に展開するグローバルサイエンス・テクノロジーのシードステージプログラムですが、今日、リブラ協会の出資パートナーであることが発表されました。

エージャイ・アグラワル教授

 

Creative Destruction Labは、拡張的な科学系企業を対象とした非営利のシードステージプログラムです。9ヶ月のプログラムでは、株主資本創出をの最大化を目的として、創業者と経験豊富な起業家、投資家を繋ぎます。2012年にトロント大学のRotman School of Managmentでエージャイ・アグラワル教授によって設立され、現在はバンクーバー・カルガリー・モントリオール・オクスフォードに拡大しています。2012年当初からCDLプログラムに参画した企業の時価総額は42億ドルを超えました。参画企業には、North (ワーテルロー), Atomwise (サンフランシスコ), Deep Genomics (トロント), Automat (モントリオール), Kyndi (パロアルト), Heuritech (パリ) などが名を連ねています。私は、バーニー・ペル氏とアグラワル教授から初めてお誘いを受け、3年間メンター兼アソシエート、そして参画者としてプログラムに携わりました。私にとって最もやりがいのある仕事の一つです。

 

さて、リブラとは何でしょうか?リブラの使命は、数十億人をエンパワーする国際通貨・金融インフラを実現することです。新たなデジタル通貨はリブラブロックチェーン上に成り立ち、リブラリザーブや一定量の法定通貨、その他の資本によって裏付けられている。プロジェクトは原則として、CDLが出資パートナーを務めるリブラ協会によって分散・管理されますが、実際のところはイオスやイーサリアム、ビットコインのように、最終的な管理者はトークン保有者やステークホルダーになるだろうという多くの声が、リブラやフェイスブック、その他のパートナーから挙がっています。

私は今日のリブラを、E-cash (皆さんご存知でしょうか) とマイレージポイント制度 (私は懐疑的ですが)、Venmo (ベンモ)、多国間ステーブルコイン (関係している経済学者は興味深いです) が融合したものだと認識しています。要するに、リブラは高い処理能力とグローバルブロックチェーンを備えたプログラマブルマネーとして設計されましたが、プロトタイプから強固なエコシステムに発展したことでユーザーにできることが限定的になっています。

 

となると、リブラは、グローバルマーケットや決済エコシステム、(私としては好ましくないですが)米銀行業の覇権に対する潜在的な脅威を加速させる驚くべき媒体になるでしょう。しかし、より重要なのは、リブラの発表が18ヶ月にわたる企業のブロックチェーン採用の流れを補強し、ビットコインやその他の暗号通貨の価格を回復させ、ロジスティックからファッション、セキュリティ、エネルギー、銀行までの様々なビジネスで急速にプロトコルの採用を促したということです。

 

ここ数週間にわたってリブラ協会やフェイスブックの話題が広まり、そのプラントプロトコルに対してたくさんの批評が挙がりました。いくつかは的を射ていますが、ほとんどがただの悪口に過ぎませんでした。デビッド・カネリス氏は、フェイスブックのリブラ暗号通貨がサプライ・通貨発行問題による金融政策を書いていると言います。イオスなど多くの暗号通貨が同じような資金調達法を実践している中、1000万ドルというノードステーキング条件やプロトコルのオペレーションや開発・管理は初期から批判を浴びています。このように多くが抱えるプライバシーへの不安は、管理・実装において課題となります。また、価値保存や国際的な金融取引の手段として(後者においてビットコインはまだ不安定ですが)、リブラがビットコインに取って代わる可能性もあるのではないでしょうか。

 

私個人として興味深いのは、フェイスブックとリブラ協会(そしてもちろんユーザー)がその実装と成功においてどのような利害関係・役割をもつかということです。フェイスブックが従業員向けにリブラでの決済を認めているという事実は、暗に将来的な安定と勢いを示しています。ケイトリン・ロング氏はForbesにて実質的で前向きな記事を書いていますが、ホワイトペーパーの質問については懐疑的でした。概して言うと、彼はリブラをブロックチェーンだとは考えていません。全ての新たなテクノロジーと同じように、買い手の危険負担、なのです。無知な人のツイッター荒らしのようにはならないように、よく読んで学び、自分の意見を持ちましょう。熟考した上での思慮深い議論は歓迎します。

荒らし屋 
 

多くの点でこの議論はBBCにいた頃を思い出させます。記者団やブログ圏、そして特にレディットは、私の上司である元マイクロソフト役員のエリック・ヒューガーズによる前の雇用主に対するBBCテクノロジーの売り上げ説明を決定づけました。私の勤務初日、BBCの外には抗議者がいました。その後3年は広がりと進歩の期間になるという思い込みは全くの見当違いだったのです。そしてiPlayerやモバイルサービス、新たなホームページが展開され、私たちはオープンソースの流れとウェブを抱えると同時にAdobe’s flashのiPlayerをアップデートしていきました。この時は、オープンスタンダードのマルチプラットフォーム型のフレームワークか、限定的なマイクロソフトのシルバーライトシステムか、という二者択一でした。組織というのは人間と同じように、多面的で進化しうるものだと私は信じています。BBCの例を示すことで、リブラに役立つ様々なことを理解いただけたでしょうか。

BBCの抗議者たち

 

さらに興味深いのは、リブラ協会のデジタル通貨・プロトコル構築が不適切であることを誰も主張していないということです。初期の30パートナーは、リブラを設立・発展させる際にプロトコルや方針管理の透明性の向上を支えてくれました。創設メンバーやパートナーたちは成功のために動いているのです。フェイスブックがリブラを完全に管理している訳ではありませんが、VisaやUber, Coinbase, Farfetch, そして私のCDL (唯一のアカデミック・アントレプレナーシッププログラム) を含めたその他のリブラ協会の創設メンバーと同じように発言権を持っています。

 

そしてそれこそが私が個人的にリブラに期待している理由であり、顧客中心のブロックチェーンアプリを作り上げるフレームワークになると考えています。

 

ここではブログ圏の否定的な意見を脇に置き、今日の発表における#リブラに対する多くの肯定的な意見を見ていきましょう。

  1. 当初からの既存エコシステムや国際分布との統合。この重要性は軽視できません

  2. 多くの国、新興市場におけるオンランプとオフランプ。PayUやstripe, Coinbase, Kiva, PayPalは展開直後からグローバルプラットフォームになっています。

  3. 金庫管理。プロジェクトに参画している人々は世界的にたくさんいます。広く採用されるにはボラティリティの縮小は不可欠です。この分野の国際的な勢いを軽視してはいけません。

  4. 簡単なブロックチェーンコードベース。リブラ協会はMoveというオープンソースのプログラミング言語を持っています:https://developers.libra.org/docs/move-paper また、リブラのコードはGitHubに公開されています:https://github.com/libra/libra フェイスブックにはオープンソース・オープンスタンダード(React Native, GO, FBML)で連携・開発してきたしっかりした歴史があります。

  5. パートナーシップ:こちらをご覧ください:

現在30を超えるパートナーがおり、ホワイトペーパー上では100までのパートナーシップが期待されています。

 

  1. 規制統合と独立。暗号通貨やブロックチェーンの大きな特徴のひとつとして、それらを管理する中央集権的な主体(銀行や政府など)が存在しないということが挙げられます。しかしながらガバナンスというのは必須であるため、リブラは、イオスなどその他のプロトコルのような、特定のノードによる委任管理システムを採用しています。リブラは管轄の企業に対してロビー活動を行なっていますが、米中心的な考えやどこかに本拠地を置くなどの考えは持っていません。真の意味で普遍的でグローバルなプログラマブルマネーなのです。

  2. 金融包摂。世界のおよそ20億人が金融システムにアクセスできていませんが、リブラによって世界を一つの金融エコシステムで繋げることが可能になります。私はこれまでに関わった人々ともに、そしてホワイトペーパーにおいて金融包摂という目的を支持します。

  1. KYC (Know Your Customer) - 我々はテロリズムや悪質な国家主体を阻止しなければなりません。その上で重要なのがKYCとマグニツキー法です。言うまでもなく、数年前のブラジルでのスタートアップによるピッチで発表したように、Orkut IDと5年以上使用されたGmail アカウントの組み合わせの信用度はとても高くなります。確かにそうなのですが、フェイスブックはその信用について、ソーチャルグラフに基づいた興味深い視点を持っています。

 

最後に、私のフィードがフェイスブックへの非難で埋まる前に、私は率直にはっきりと言わなくてはなりません。私は特定のブロックチェーンを支持している訳ではありません。この変革において、勝者と敗者を決めるのは時期尚早ではないでしょうか。私は、ビットコイン・イーサリアム・イオス・コスモス・カルダノ・ゴーチェーン・ライトコイン・モネロ・リップル、そしてハイヴやいただきますコインも保有しています。私はブロックチェーンの積極的な投資家であり、分散化やweb 3.0の熱烈な支持者でもあります。しかし、私は分散化原理主義者ではありません。関係者のトランザクションをコンセンサスによる管理のもと効率的に、かつ永続的に証明できる形で記録できる、オープンで変名可能な分散型台帳を作り出す場所だと私は思います。さらに、ブロックチェーンは中央集権から非中央集権への移行が可能です。初期の創設者による管理は、やがてトークン保有者へと移行していくのです。CDLのブロックチェーンストリームブログを導いたジョシュア・ガンズ教授は、これについて非常に知的に語っています。

明確にするために、私は特定のクリプトを支持している訳ではありません。私は中央集権的な管理システムを排除しうる多くの企業や組織、プロトコルを抱えています。我々は、現在のお金やグローバリゼーション、信用に関する考えが今とは全く進化するような長い変化の第一段階にいます。先日私は友人に問いました。なぜ我々は偶然生まれた国による管理のもとトークン化された機械で技術者が作ったバッグやテーブルを使い、商品にお金を払っているのだろうか?為替レートは、我々の目的とは相反する形で組織のインセンティブとなり、その気まぐれによって容易に変化し管理されてしまいます。リブラは完璧なのでしょうか?私は、今日の不透明さについては懐疑的です。しかし、企業の国際的なマーケットにおいては最も重要な変化の一つであり、CDLで担当者として参画・貢献できたことを私は誇りに思います。

 

多くの基盤やリブラの技術的リソース、カリキュラムとしてのその他のアクセスを要するCDLブロックチェーンストリームの応用は、まだ可能です。もしリブラやブロックチェーン、AI、量子を使った新たなビジネスを考えているのであれば、また、リブラを既存のブロックチェーンビジネスに使いたいのであれば、CDLブロックチェーンストリームの活用をおすすめします。

 

 

著者プロフィール:リチャード・タイタス

CEO, ヨギ, シリアルアントレプレナー, 講談師, コーチ, アドバイザー, たまに映画製作者

Comments Write Comment
Currently there are no comments for this article. Would you like to be the first to write one?